研究概要 |
本研究ではTiO_2超微粒子を単独,あるいは他の機能をもつ微粒子とともに無機担体へ均一固定化し,実用段階により近い条件における光触媒の性能向上を図ることを目的とする. 本年度は,TiO_2超微粒子の活性炭への均一固定化およびTiO_2粒子径の最小化について検討を行い,以下の知見を得た. TiO_2の活性炭への担持法として,ポリマーで保護されたTiO_2コロイドを合成し,そのコロイドを窒素焼成・賦活処理してTiO_2微粒子が担持された活性炭触媒を調製するという新規な方法を提案した.ポリマー(炭素原料)としてはフェノール樹脂を選択したが,その中でもアルキルベンゼン系フェノール樹脂を用いた場合にTiO_2粒子径が最も小さく(6nm)なることがわかった. また,触媒中のTiO_2含有量を10〜90wt%の間で変化させてTiO_2/炭素触媒を調製したところ,本法によるTiO_2/炭素触媒(賦活処理前)は、TiO_2担持量が大きくなってもTiO_2粒子径が6〜7nmと非常に小さいまま変わらなかった(含浸法TiO_2/活性炭触媒は13〜18nm).このように本調製法では従来の含浸法よりもTiO_2を炭素上に高分散できることがわかった. さらに,薬品賦活法および空気賦活法の2種類の方法で担体炭素の賦活について検討した。薬品賦活法ではBET表面積の著しい向上(1300m^2/g)が認められたが,賦活の際にTiO_2粒子の凝集(結晶径15nm)が起こった.これに対して、空気賦活を行ったTiO_2/活性炭触媒は、BET表面積はそれほど大きくならなかった(150m^2/g)が、TiO_2粒子の凝集も起こらなかった(7nm).この触媒は,含浸法触媒の2倍,および市販の高活性光触媒であるP-25(日本デグサ)の3倍も高い酢酸光分解活性を示した。
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