本研究では、従来の微粉炭燃焼技術を活かしつつ、よりクリーンで高効率な発電システムを開発することを目的として、微粉炭燃焼技術と新規な流動層接触熱分解炉を組み合わせた全く新しい複合発電システムの開発を行っている。本年度は、低温で極めて高いガス転換率を実現するため、主としてNi系触媒に着目して熱分解実験を行い、ガス収率および液状物収率に対する熱分解温度、触媒の種類の影響を検討した。実験には、内径30mm、長さ600mmのインコネル製の連続式加圧流動熱分解装置および2段の固定層型反応器を用いた。流動化粒子としてNi触媒を用いると、ガス収率が著しく増加することを見出した。ガス収率はNi含有量および熱分解温度に依存し、Ni含有量が大きくなるにつれ、また、温度が高くなるにつれて増加した。最も活性の高い触媒を用いた場合、600℃で44%のガス収率を得ることができた。 一方、軽質液状炭化水素収率は触媒種類及び熱分解温度に強く依存した。Ni触媒を用いた場合、実験したいずれの温度でも液状生成物の生成はほとんど認められず、500℃程度の低温度域でも液状物をほぼ完全に分解することに成功した。
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