研究課題/領域番号 |
10450309
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 渥夫 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80026088)
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研究分担者 |
植田 充美 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90183201)
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キーワード | 細胞表層工学 / 分子ターゲティング / アーミング酵母 / 環境浄化 / リパーゼ / セルラーゼ / セルロース / 廃油脂 |
研究概要 |
細胞壁や細胞膜を含むいわゆる細胞表層は興味深い領域であり、昨今分子細胞生物学の進展に伴い、真核細胞において細胞壁に留まるタンパクや細胞膜にリン脂質を介して留まるGPI-アンカーなどの分子構造が明らかになり、魅力的な基礎研究の対象となってきている。これらの分子メカニズムを利用して、昨年度、グルコアミラーゼ、α-アミラーゼ、セルラーゼやβ-グルコシダーゼを単独で細胞表層に発現させた。さらには、グルコアミラーゼとα-アミラーゼやCM-セルラーゼとβ-グルコシダーゼを組み合わせた連続・協奏反応する酵素を活性型のまま細胞表層に同時に提示させ、2段階やさらには多段階反応を細胞表層で行わせ、これまで利用できなかった資源(ここでは、デンプンやセロオリゴ糖)を資化できる酵母(アーミング酵母)の創製に成功してきた。本年度は、地球規模での廃油脂による環境汚染の浄化に役立つRhizopus oryzaeのリパーゼ(ROL)の細胞表層提示を試みた。ROLの細胞表層提示は、蛍光顕微鏡観察や、細胞壁画分の抗ROL抗体によるウエスタンブロット解析、さらには、トリブチリンを含むプレートを用いたハロ検出法により確認した。また、トリオレインを含む液体培地での本酵母の生育により、酵母がその細胞表層にリパーゼを活性型で提示し、トリオレインを分解してその分解産物であるオレイン酸を唯一の炭素源として生育できることも判明した。ROLの細胞表層提示に関して、導入したスペーサーに最適な長さが存在することがわかった。このリパーゼ細胞表層提示細胞は、地球規模での廃油脂による環境汚染の浄化に、新しいタイプの生体触媒として貢献できるものと考えられた。
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