研究課題/領域番号 |
10450310
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物・生体工学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
卜部 格 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029246)
|
研究分担者 |
島 康文 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50187423)
四方 哲也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00222399)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 2001
|
キーワード | ペルオキシダーゼ / カタラーゼ / 反応特異性 / ランダム点変異 / ランダム伸長変異 / 適応度地形 |
研究概要 |
Bacillus stearothermohilus由来のペルオキシダーゼは、ペルオキシダーゼ以外に強いカタラーゼ活性を有している。本酵素の高い耐熱性を維持しつつ、カタラーゼ活性を欠失させ、さらにペルオキシダーゼ活性を上昇させるという、3つの相異なる要求を満たす難易度の高い改良を行うために、昨年度までに野生型酵素にランダム突然変異を導入して得られた第一次変異型酵素集団の中から、カタラーゼ活性が減少し、ペルオキシダーゼ活性が上昇し、かつ耐熱性の低下が少ない変異型酵素D130Nを取得した。さらに、得られた変異型酵素の遺伝子に、同様の方法でランダム突然変異を導入し、第二次変異型酵素集団を作製し、その中から、ペルオキシダーゼ活性がさらに少し上昇し、かつ、カタラーゼ活性がさらに大きく減少した変異型酵素(l108T/D130N/l222T)を選抜した。野生型酵素の反応特異性がカタラーゼ活性98%、ペルオキシダーゼ活性2%であるのに対し、本変異型酵素ではカタラーゼ活性42%、ペルオキシダーゼ58%となっており、2段階の変異処理で、酵素の反応特異性をカタラーゼからペルオキシダーゼ側に大きく変えることに成功した。しかし、本変異型酵素の耐熱性は大きく低下していた。そこで、本酵素にランダムペプチド付加による伸長変異を導入し、拡張された次元の配列空間における変異型酵素集団を得、その地形を解析したところ、次元拡張された空間においては新しい地形が広がっており、反応特異性をあまり変えることなく、耐熱性を野生型あるいはそれ以上に大幅に上昇させうることができた。以上の結果より、複数の相異なる要求を満たす難易度の高い改良も、ランダム点変異とランダム伸長変異を組み合わせた次元工学的手法で達成可能であることが実証できた。
|