研究課題/領域番号 |
10450312
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大竹 久夫 広島大学, 工学部, 教授 (10127483)
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研究分担者 |
滝口 昇 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (20304462)
池田 宰 広島大学, 工学部, 助教授 (40151295)
黒田 章夫 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (50205241)
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キーワード | ポリリン酸顆粒 / 生物脱リン / 富栄養化 / 資源問題 / 好気嫌気法 / バイオリン / 活性汚泥 |
研究概要 |
リン酸バイオポリマーであるポリリン酸の顆粒を効率良く汚泥から取り出すことを目標とし、至適条件の検討を行った。その結果、リンを蓄積した活性汚泥を短時間感熱すれば良いことが判明した。すなわち、実験室内で運転中の回分式の嫌気好気活性汚泥プロセスから採取した汚泥をそのまま、恒温槽内で50〜90℃に加熱したところ、70℃では約60分、90℃ではわずか10分ほどで、汚泥中からポリリン酸のほぼ全量が、熱水中に放出された。興味深いことに、この間に放出されたリン酸量は、70℃ではポリリン酸放出量の約20%、90℃では15%に過ぎなかった。しかしながら加熱温度が50℃の場合には、活性汚泥からのリン酸、ポリリン酸の放出速度は著しく低下するとともに、ポリリン酸よりもリン酸の放出量が上回った。一方50℃よりも低い温度では、リンの放出速度はさらに低下してしまう。逆に、90℃以上の温度で加熱しても、熱が無駄になるだけで、ポリリン酸の放出そのものはさほど改善されなかった。ところで、加熱した汚泥をDAPI染色し、蛍光顕微鏡により観察すると、汚泥フロックの外には多数の黄緑色のポリリン酸顆粒が認められる。逆に、汚泥フロックの方では、ポリリン酸顆粒が抜けたために、核酸の青白い蛍光が目立った。また、加熱処理の前後で汚泥サンプルを、走査型電子顕微鏡で観察したところ、汚泥細菌の細胞壁は多少変形しているものの、細胞の外見はほぼ原形を留めていた。これらの実験結果から、リンを蓄積した活性汚泥を70〜90℃に加熱しさえすれば、汚泥中のポリリン酸をほぼ100%速やかに顆粒ごと回収できる可能性が示唆された。
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