研究課題/領域番号 |
10450313
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 修 広島大学, 工学部, 教授 (00274126)
|
研究分担者 |
河本 正次 広島大学, 工学部, 助手 (90294537)
秋 庸祐 広島大学, 工学部, 助手 (80284165)
重田 征子 広島大学, 工学部, 助教授 (10034381)
小埜 和久 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (10144883)
|
キーワード | ドコサペンタエン酸 / 高度不飽和脂肪酸 / 不飽和化酵素 / Shizochytrium sp. / 鎖長延長酵素 / 不飽和化酵素阻害剤 / アレルギーマウス / 血漿脂質 |
研究概要 |
未だ知られていないn-3系ドコサペンタエン酸[DPA(n-3)]を大量に産生する微生物の探索は、ドコサヘキサエン酸(DHA)産生微生物のスクリーニング方法を基本として、松花粉による釣り餌法による海洋性菌の探索を瀬戸内海海域及び西表島のマングローブ林の海水を採取し行った。約1000株の単離菌から、EPA、DHAなど高度不飽和脂肪酸を多量に産生する糸状曹を15株得た。この中には、DHAを50%以上と極めて高いDHA生産菌、また、DPA(n-6)を15%以上産生する株は得られたが、DPA(n-3)の生産菌としては含量5%未満の菌株しか得られなかった。引き続き、スクリーニング方法の検討を行い、探索を続行する。 DHA生産微生物におけるDHA生合成経路での代謝中間体として、DPA(n-3)が前駆脂肪酸と位置付けられるとの既知の哺乳類での代謝経路の知見の下に、DHA生産菌であるShizochyt-rium sp. SR21株を用いて、DPA(n-3)を蓄積する不飽和化酵素阻害剤の探索を200種に及ぶ化学物質について行った。その結果、ω-3不飽和酵素阻害剤(ヨウ素化合物)及び炭素鎖18から20への鎖長延長酵素を阻害する水銀化合物を新規に見出した。ω-3不飽和酵素阻害剤による阻害実験の結果、SR21におけるDHA生合成経路の前駆脂肪酸がDPA(n-3)ではなく、DPA(n-6)であることが見出され、本微生物におけるDHA生合成経路が哺乳類におけるそれとは全く異なる経路を取っていることを明らかにした。従って、DPA(n-3)がDHA合成の中間体ではなく、EPAの鎖長延長から生合成されていることが示唆され、鎖長延長酵素遺伝子の取得による高生産技術の開発の方向が示された。また、高度不飽和脂肪酸の生合成の鍵となるΔ6-不飽和化酵素遺伝子のラットからの単離を行い、酵母(S. cerevisiae)においての発現に成功した。さらに、アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて、その血漿脂質の分析を行った結果、発症に従ってDHAが蓄積されていることを認めた。
|