研究課題/領域番号 |
10450313
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 修 広島大学, 工学部, 教授 (00274126)
|
研究分担者 |
秋 庸裕 広島大学, 工学部, 助手 (80284165)
重田 征子 広島大学, 工学部, 助教授 (10034381)
小埜 和久 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (10144883)
河本 正次 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (90294537)
|
キーワード | ドコサペンタエン酸 / ドコサヘキサエン酸 / 高度不飽和脂肪酸 / Shizochytrium sp. / 不飽和化酵素 / 鎖長延長酵素 / NC / Ngaマウス / IgE抗体価 |
研究概要 |
本年度までに主として海水域から単離した高度不飽和脂肪酸(PUFA)生産微生物31種は、いずれも昨年度同様ドコサヘキサエン酸(DHA,C22:6n-3)、n-6系ドコサペンタエン酸(DPA(n-6),C22:5,n-6)を産生するものであり、n-3系ドコサペンタエン酸(DPA(n-3),C22:5n-3)を多量(全脂肪酸の10%以上)に蓄積する菌を得ることは出来なかった。単離されたPUFA産生菌は18S ribosomal RNA塩基配列に基づく菌学的分類などから、Labyrinthura類のTraustochytriumあるいはSchizochytrium属菌であることを見いだした。 昨年度、哺乳類の高度脂肪酸の代謝経路とは異なり、DHA生産徴生物における代謝中間体としてDPA(n-3)が前駆脂肪酸ではないことがw-3不飽和化酵素阻害剤としてヨウ素化合物を見いだした結果から明らかとなった。従って、DHA高生産菌であるSchizochytrium limacinum SR21株を用いて、本菌におけるDHA生合成経路の解明を生合成系阻害物質の検索により試みた。その結果、水銀含有化合物の添加により炭素数22のDHA、DPA及びわずかに蓄積していた炭素数20の不飽和脂肪酸の顕著な生産抑制が認められた。in vitroでの脂肪酸鎖長活性の測定系を確立し、水銀含有化合物であるエチルメルクリルチオサリチル酸ナトリウム(チメロサール)がC18及びC20飽和脂肪酸に特異的な延長活性を持つ鎖長延長酵素を阻害していることを明らかにした。この事実から、DHA生合成経路として少なくともC18:0からC20:0を経由してC22:0に至る鎖長延長と、C22:0からC22:6(DHA)に至る不飽和化経路が存在することが推察された。 アトピー性皮膚炎モデルマウスであるNC/Ngaマウスを用いてDHAの投与実験を行った結果、DHA投与がコントロールと比べて有意にIgE抗体価の上昇並びにアトピー性皮膚炎症状の発症を抑制しているしていることを明らかにした。
|