研究課題/領域番号 |
10450318
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮山 勝 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (20134497)
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研究分担者 |
中村 吉伸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30198254)
工藤 徹一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90205097)
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キーワード | ビスマス層状構造酸化物 / 層状ペロブスカイト / 交代層構造 / 導電性ペロブスカイト / p型半導性 |
研究概要 |
ビスマス層状構造酸化物は、ビスマス層と擬ペロブスカイトブロックが積層された結晶構造を有し、その構造に由来する異方性電気物性をもつ。本研究では、導電性のべロブスカイト層と強誘電性のべロブスカイト層が絶縁性ビスマス層をはさんで規則的に配列した層状構造結晶を作製することにより、方向により強誘電性・高導電性という異種物性が同時に発現する材料を設計・開発することを目的とする。平成10年度は以下の研究成果が得られた。 (1) 導電性ペロブスカイト層をもつ酸化物合成:高導電性が予想された材料系の中から、ペロブスカイトBサイトにMnを含むBi_5Ti_3MnO_<15>(BTM)を選び、その多結晶体作製と物性評価を行った。ホール係数および導電率測定から、導電キャリアはホールであり、ホール濃度・導電率はこれまでに報告されているビスマス層状構造酸化物の中で最大であった。導電率の酸素分圧依存性および移動度の温度依存性から、ホールのホッピングによるp型半導性であると考えられた。 (2) 異なるペロブスカイト層をもつ交代層構造体の作製:上記のBTMと代表的強誘電体であるBi_4Ti_3O_<12>(BIT)からなるBi_9Ti_6MnO_<27>(BTBM)多結晶体を作製した。格子定数は、c軸方向でBTMとBITのそれぞれの値の和の1/2に相当し、他の交代層で見られる結果と一致した。透過型電子顕微鏡で格子像を観察した結果、部分的にではあるが交代層構造が形成されていることが確認された。この多結晶体の導電率はBTMとBITの導電率の間にあり、BTMにより近い値を示した。 (3) 単結晶化の試み:BTBMの単結晶を温度勾配徐冷法およびフラックス法により試みたが、得られた結晶はMnが固溶したBITであり、BTBMの単結晶はまだ得られていない。今後さらに単結晶化を試み結晶方位毎の物性評価を行う予定である。
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