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1998 年度 実績報告書

光生成安定ラジカルの特異的相互作用の分子制御と超高速ダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 10450322
研究種目

基盤研究(B)

研究機関静岡大学

研究代表者

長村 利彦  静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90117200)

研究分担者 坂口 浩司  静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (30211931)
キーワード光誘起電子移動反応 / フェムト秒レーザー / 電荷共鳴吸収 / ダイマーラジカルカチオン / 逆電子移動反応 / マーカス反転領域
研究概要

本年度は主に、光誘起電子移動反応によるラジカルおよびそのラジカルとカチオンとの分子間相互作用によるダイマーラジカルカチオンについて、生成と減衰の超高速ダイナミクスをフェムト秒レーザー励起により検討した。
ジシアノビニル基あるいはニトロ基をもつスチリルピリジニウム・テトラフェニルホウ酸(TPB^-)塩についてフェムト秒レーザーにより励起するとスチリルピリジニルラジカルとダイマーラジカルカチオンの過渡吸収が可視および近赤外域に観測された。生成はいずれも1ピコ秒(ps)以内でおこった。このことからイオン対間の光誘起電子移動反応、および光生成ラジカルと親分子のスチリルピリジニウム誘導体との相互作用が極めて速いことが示された。特に近赤外域の電荷共鳴吸収の立ち上がりは分子間相互作用として驚異的に速い応答である。二つのスチリルピリジニウム分子は対イオンのTPB^-を介してかなり近接しており光電子移動すると同時に、一電子還元された方がドナー、未反応の方がアクセプターとして働き極めて速くダイマーラジカルカチオンが形成されると考えられる。減衰挙動は、可視と近赤外でかなり異なった。近赤外の吸収が約3psの寿命をもつ単一指数関数減衰を示すのに対し、可視域の吸収はそれとほぼ同じ寿命および約17psの2成分であった。近赤外の吸収はダイマーラジカルカチオンのみに起因するが、可視域の吸収はモノマーおよびダイマーラジカルカチオンのいずれも寄与する。寿命の違いはスチリルピリジニルラジカルモノマーおよびダイマーラジカルカチオンからTPB^-酸化体への逆電子移動反応の自由エネルギー変化の違いと電子移動のマーカス反転領域で説明された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Hiroshi Inoue: "Ultrafast optical switching by photoinduced electrochromism in cast films of polymeric 4,4′-bipyridinium salts with diiodides" Applied Physics Letters. 73(1). 10-12 (1998)

  • [文献書誌] Toshihiko Nagamura: "All-optical parallel switching by the use of guided wave geometry composed of a thin silver film and a polymer thin film containing organic dye" Proceeding of SPIE-The International Society for Optical Engineering. 3466. 212-221 (1998)

  • [文献書誌] Toshihiko Nagamura: "First intramolecular charge resonance band observed at room temperature by steady photolysis of l,3-bis(4-(4-nitrostyryl)pyridinium)propane tetraphenylborate" Chemical Physics Letters. 294(1). 167-172 (1998)

  • [文献書誌] Hideki Kawai: "Ultrafast dynamics of Photogenerated styrylpyridinyl radical and its dimer radical cation with styrylpyridinium cation studied by femtosecond laser flash photolysis" Journa1 of Chemical Society,Faraday Transactions. 94(24). 3581-3586 (1998)

  • [文献書誌] Hideki Kawai: "Picosecond mechanism of metalion-sensitive fluorescence of phenylimidazoanthraquinone with azacrown" Journal of Physical Chemistry,A. 103(6). 660-664 (1999)

  • [文献書誌] Toshihiko Nagamura: "The Femtosecond Technology" T.Kamiya H.Yajima, O.Wada(Ed.), Springer-Verlag GmbH & Co.,Germany (in press), (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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