研究概要 |
1.KCN処理したa-Si:H簿膜のLDTOF-MS解析 a-Si:Hの光劣化を抑制することを目的に、KCN溶液(溶媒:エタノール、0.1M)+クラウンエ一テル(18-クラウン6-エ一テル,0.2M)混合溶液中でa-Si:Hを処理した。4分間KCN処理した年a-Si:Hは40時間の光照射に対して、光導電率、暗導電率とも劣化が観測されなかった。KCN処理時間を変えたa-Si:HのLD TOF-MS解析を行ったところ、欠陥密度を示唆するアブレーションしきい値(E_<th>)が徐々に増加し、3-4分間で最もE_<th>が高いことが分かった。また、LD-TOF-MS及びSIMS測定の結果、CN^-を意味するmass26のシグナルが処理時問と共に増加することが確認された。これらの結果は、KCN処理によってa-Si:H中のダングリングボンドを新たに終端した配位性の強いCN^--が、光照射によるダングリングボンドの発生を抑制したと考えられる。 2.酸化物、窒化物、ZnSのLD TOF-MS解析 LD TOF-MSで得られたマススペクトルはSIMSでのものとほぽ同等であったため、LD TOF-MSを用いて不純物の同定にも使えることが分かった。これを利用して、酸化物ZnOターゲットめ高純度化への洗浄方法を確立することができた。レーザーアブレーションによる薄膜作製を考えた場合、むしろLD TOF-MSの方が基板に到達する飛来種の解析には向いている手法と言える。 p型ZnO作製のためGaN,AINをLD TOF-MS測定したが、co-dopeとして働くGaN_2,AlN_2飛来種を確認することができなかった。ZnSのLD TOF-MS測定でZnS分子状飛来種があることが確認された。通常MOCVDやMBEではZn,Sの蒸気圧が高いため、300℃以下に抑えられていた基板温度をレーザーアブレーションでは800℃まで高めることができた。
|