研究課題/領域番号 |
10450333
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
芳尾 真幸 佐賀大学, 理工学部, 教授 (60037885)
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研究分担者 |
磯野 健一 佐賀大学, 理工学部, 助手 (20232374)
野口 英行 佐賀大学, 理工学部, 教授 (60093978)
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キーワード | リチウムイオン電池 / 正極材料 / ニッケル / マンガン / 電池性能 / 高分解能蛍光X線分析 / 固溶体 / コバルト添加 |
研究概要 |
マンガン置換ニッケル酸リチウムはMn置換量が20%を越えると空気中で合成しても放電容量140mAh/gを有する材料が合成できるが層状構造を安定化する作用のあるコバルトをドープすると放電容量が155mAh/gまで増加することを見出した。コバルトのドープは分極の減少、サイクル特性の向上にも寄与することを明らかにした。また、化学分析によりマンガン置換ニッケル酸リチウム中でマンガンは3価以上で存在する可能性を指摘していたが、二つの分光結晶を用いる高分解能X線蛍光分析を用いることにより結晶中マンガンは主に4価で存在することを明らかにし、Mnが単純に3価のニッケルと置換するのではないこと示した。この成果を基にニッケル酸リチウムが同じ層状構造の4価のマンガン酸化物Li_2MnO_3と全組成範囲で固溶体を形成することを確認し、マンガン置換ニッケル酸リチウムがMn置換率の低い領域ではLiNiO_2-LiMnO_2固溶体相とLiNiO_2-Li_2MnO_3固溶体相が固溶体を生成する、即ちLiNiO_2-LiMnO_2-Li_2MnO_3固溶体相が生成することを発見した。このためMn置換系では広範なLi/(Mn+Ni)原子比で高い容量を与えるという特有な性質を示すこととなる。また、均一な混合が可能なゾルゲル法により、ニッケル酸リチウムの合成を行いニッケルの酸化を制御する合成時の酸素流量が電池特性を大きく左右することも明らかにした。 ニッケルとマンガンからなる化合物はLi/遷移金属比が0.5でスピネル化合物を生成し、この化合物が放電容量130mAh/g以上の優れた5V級電池材料となる事を示した。 更に高分解能蛍光X線分析により、Ni/Mnが小さい場合はNiは3価、大きくなると2価で存在することを証明し、5Vの電位がNi^<2+>/Ni^<4+>のレドックスに対応することを明らかにした。
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