研究概要 |
本研究はジアンヒド口糖の開環-環化重合により、グリコシド結合を持たない新規糖鎖を合成することが目的である。まず、六炭糖について重合な可能なモノマーとしてメソ体の1,2:5,6-ジアンヒド口-3,4-ジ-Ο-メチル-アリトール(1)およびガラクチトール(2)の環化重合について検討した。1のア二オン重合はエポキシ基が分子間付加反応でβ開裂、分子内環化反応でα開裂する機構で進行し、5員環がポリマーの主鎖構造であった。一方、カチオン重合では主に6員環を主鎖構造に有するポリマーが生成した。この6員環はエポキシ基が分子間反応でα開裂、分子内反応でα開裂する機構で生成する。2のア二オン重合でも6員環を主鎖構造に有するポリマーが生成した。生成機構はエポキシ基が分子間反応でβ開裂、分子内反応でβ開裂するものであり、1のカチオン重合とは対照的であった。2のカチオン重合ではエポキシ基の開裂様式に選択性がほとんど見られなかった。このように、6員環構造を主な繰り返し単位とするポリマーが1のカチオン重合および2のアニオン重合で生成することを見い出した。 五炭糖に関して、メソ型の1,2:4,5-ジアンヒドロ-3-O-メチル-キシリトール(5)および光学活性な1,2:4,5-ジアンヒド口-3-O-メチル-L-アラビニトール(6)をモノマーとした環化重合を検討した。5、6ともにカチオン重合触媒に対して重合活性を示し、クロロホルムやTHFに可溶性のポリマーが生成した。5からのポリマーはモデル化合物との比較により、5員環の1,4-アシヒドロ-3-O-メチルアラビニトールを主とする繰り返し構造であった。これに対し6からのポリマーは5員環の1,4-アンヒドロ-3-O-メチルアドニトールおよびキシリトールを主なユニットに含むポリマーであった。
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