研究課題/領域番号 |
10450349
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮下 徳治 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (40124630)
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研究分担者 |
青木 純 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (50250709)
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キーワード | 分子環境ラングミュアーブロジェット膜 / N-アルキルアクリルアミド / ピレン / ルテニウム錯体 / ポリイオンコンプレックス |
研究概要 |
ナノメートルスケールの情報伝達組織体の作製法としてLangmuir-Blodgett(LB)法は優れた方法である。本研究はLB法による分子刺激応答性高分子ナノ組織体の創製をめざしたものである。本年度はピレンやルテニウムバソフェナントロリン錯体(Ru錯体)を含む高分子LB膜を作製し、その光機能性の検討を行った結果、以下の成果が得られた。 1) 高いLB膜形成能を有するN-ドデシルアクリルアミド、tert-ペンチルアクリルアミドと1-メチルピレンアクリレートの共重合体をラジカル重合により合成した。いずれの共重合体も安定な凝縮膜挙動を示し、共重合成分の側鎖の違いにより、ピレン分子が水面に対して、垂直配向(N-ドデシルアクリルアミド)、水平配向(tert-ペンチルアクリルアミド)であることが示唆された。累積したLB膜について、紫外・可視吸収、蛍光測定をしたところ、単分子膜中での配向がそのまま保持された状態で累積されていることが確認された。ピレン分子の分子環境がN-ドデシルアクリルアミド共重合体ではアルキル鎖に囲まれた状態、tert-ペンチルアクリルアミドでは表面にさらされた状態で溶媒の影響を受けやすい状態であること、また、LB膜中ではキャスト膜にくらべ運動が抑制された状態であることが明らかとなった。 2) N-アクリロイルオキシスクシンイミドとN-ドデシルアクリルアミドの共重合体とRu錯体の混合溶液をアルカリ水面上に展開し、スクシンイミド基の加水分解により生じたカルボキシレートイオンとRu錯体の静電吸着を利用してポリイオンコンプレックスLB膜の作製を検討した。Ru錯体が単分子膜中に均一に取り込まれ、層状構造を有していることを紫外・可視光吸収、X線回折により確認した。得られたRu錯体LB膜は酸素雰囲気下で発光が効率よく消光され、酸素消光型の感圧センサーとしての可能性があることを示した。
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