研究概要 |
1. t-BuLiと嵩高いアルミニウムフェノキシドbis(2,6-di-t-butylphenoxy)methylaluminum[MeAl(ODBP)_2]の組合せからなる開始剤を用いてトルエン中低温で、種々のメタクリル酸アルキルの重合を行った。一級エステルの重合を低温で行うと、高度にヘテロタクチック(ht-)なポリマーが得られることを見出した。なかでも、-95℃でのメタクリル酸アリルの重合ではへテロタクチック3連子含量96%のポリマーが得られた。 2. ht-ポリメタクリル酸アリルをパラジウム触媒存在下でピロリジンと反応させるとポリメタクリル酸に変換できた。これをジアゾメタンでメチル化してht-PMMAを合成した。このポリマーは熱処理によって結晶化し、165℃に融点を示した。 3. t-BuLiとMeAl(ODBP)_2によるメタクリル酸アリルのオリゴマー化反応を行い、得られたオリゴマーから超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を用いて重合度ごとに分別し、均一オリゴマーを単離した。各オリゴマーの立体構造をl3CNMRで調べたところ、その規則性に明瞭な偶奇性が見られ、奇数重合度のほうが高い規則性を有することを見出した。 4. 第1級アルキルエステルとメタクリル酸トリメチルシリル(TMSMA)などの共重合をt-BuLi/MeAl(ODBP)_2を用いてトルエン中低温で行ったところ、一級エステルがMcAl(ODBP)_2によって優先的に活性化されて重合し、その後TMSMAの重合が引き続き起こって、ブロック共重合体が一段階で得られることを見出した。この方法を第1級アルキルエステル、TMSMAとメタクリル酸t-ブチルの3元共重合に適用したところ、この順に重合が進行してトリブロック共重合体が得られた。第1級アルキルエステルとアクリル酸t-ブチルの共重合を行い、得られた共重合体の^<13>CNMR測定による立体規則性ならびに連鎖の解析、オンラインSEC/NMR測定による組成の分子量依存性の解析から、低温では後者が優先して重合し、立体規則性ブロック共重合体が得られ、高温では分子量分布の狭いランダム共重合体が生成することを明らかにした。
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