| 研究概要 |
メタロセン系触媒を用いて構造制御されたマクロモノマーを含む多くの新規ポリマーの合成を行なった.得られた成果の概要を以下に述べる.
1.メタロセン-MAO触媒によるスチレンマクロモノマーの立体特異性重合
スチレンのシンジオタクチックポリマーを与えるCpTiCl3-MAO触媒およびイソタクトポリマーを与えるNi(acac)2-MAO触媒を用いて、ポリイソプレンおよびポリスチレン鎖末端にスチレン構造を有するマクロモノマーとスチレンとの共重合から,新規主鎖立体規則性グラフト共重合体を合成し、その性質について検討した.そして、ポリマーの結晶化挙動の解析から,主鎖と側鎖のセグメントの相溶性が結晶化に重要な働きをしていることを明らかにした.また,合成した構造明確なマクロモノマーの単独重合から主鎖が立体規則性であるにもかかわらず,室温で可溶な櫛形の多分岐ポリマーが合成できることを明らかにした.
2.ハーフチタノセン-MAO触媒による塩化ビニルの重合における構造制御
種々のハーフチタノセン触媒による塩化ビニルの重合から構造制御されたポリ塩化ビニルの合成を行なった.Cp*TiX3-MAO触媒(X:OMe,OBu,OPh)を触媒として用いた塩化ビニルの重合から,生成ポリマーの主鎖構造が制御されたポリマーが得られることを明らかにした.重合の活性はハーフチタノセン中のX置換基の影響を受けたが,立体規則性はあまり影響されなかった.さらに,種々の重合条件下の検討から、配位機構で重合が進行していることを推測した.これらの触媒を用いて塩化ビニルとエチレンおよびスチレンとの共重合の検討から共重合体の合成できることが分かった。
3.ニッケル化合物-MAO触媒によるブタジエン,スチレンおよびメタルリル酸エステルの重合における構造制御
ニッケル(II)アセチルアセトナト[Ni(acac)_2]とMAO触媒の触媒によるブタジエン,スチレン,メタクリル酸エステルなどの重合から一次構造の制御されたポリマーが合成できることを明らかにした.Ni(acac)_2-MAO触媒によるブタジエンの重合から高シス-1,4-ポリブタジエンが得られ,スチレンとブタジエンの共重合よりブタジエン単位が高シス-1,4でランダム連鎖に富む共重合体が合成できた.さらに、この実験より中心金属をバナジウム、コバルト、クロムおよびマンガンに変えて種々のモノマーの重合を検討したところ、中心金属により、構造の制御が可能であるあることが分かった。
|
