研究概要 |
1)Ca^<2+>飽和カルモデュリン(CaM)/標準的標的ペプチド複合体の溶液構造解析: 標的ペプチドとしてミオシン軽鎖キナーゼ、CaM依存性プロテインキナーゼI,II,IVおよびカルシニューリンのCaM結合部位ペプチドを用いた。上記標的ペプチド複合体の構造解析よりCaMの標的分子認識モチーフを決定した。さらに限定分解フラグメントを用いてカルモデュリンの中心へリックス部の役割を明らかにした。 2)Ca^<2+>飽和CaM/標準的標的ペプチド複合体の解離過程: 反応開始後、複合体の回転半径は急激に増加し、その後、緩やかに減少した。これらの過程はCa^<2+>/CaMのNドメインから2Ca^<2+>が解離し、2Ca^<2+>/CaM/ペプチド複合体の形成(反応時間50-100ms)、ついでCドメインから2Ca^<2+>が解離する過程に対応する。後者の過程には0Ca^<2+>/CaM/ペプチド複合体の活性化状態が含まれる。 3)アポCaM/標準的標的ペプチド複合体の溶液構造解析: IQモチーフ以外でもアポカルモデュリンが標的ペプチドを結合することを示した。標的酵素活性化の初期におけるその重要性を明らかにした。 4)Ca^<2+>飽和カルモデュリン/非標準的標的タンパク質複合体の溶液構造解析: 非標準的配列をもつ標的タンパク質のCaM結合部位はHIVやRasタンパク質に共通に見られるものである。複合体の回転半径は標的タンパク質のモル数の増加に伴い、球状構造を示した。しかしこの構造は標準的標的タンパク質とのコンパクトな複合体とは明らかに異なることを明らかにした。さらにコントラストマッチングの条件で複合体中のカルモデュリンの形態を明らかにした。
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