研究課題/領域番号 |
10450363
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
五十野 善信 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30135321)
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研究分担者 |
高野 敦志 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (00236241)
河原 成元 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (00242248)
高橋 勉 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20216732)
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キーワード | 高分子濃厚系 / 非線形粘弾性 / 大変形 / 絡み合い / ゴム状平坦領域 / 動的弾性率 / 非平衡構造 / 緩和時間 |
研究概要 |
レプテーション概念とチューブモデルにより高分子濃厚系の非線形粘弾性に関する理解は非常に深まった。しかし、これらの考え方を用いても理解できない現象が多々あり、高分子ダイナミクスを理解する上でのブレークスルーとなる新しい考え方が再び求められている。この新たな混乱は内部構造変化を無視していることによるものと考えられる。従来、線形・非線形条件下を問わず、粘弾性挙動はすべて分子鎖配置の異方性により生じるものであり、基本的に緩和応力より求められる歪依存性記憶関数ですべて理解できると考えられてきた。高分子希薄系ならそれは正しい。しかし、分子間に絡み合いが存在する高分子濃厚系では、分子鎖配置異方性とともに、絡み合い構造の変化ならびに回復をも合わせて議論しなければならないはずである。前者は屈折率テンソルの変化、後者はゴム状平坦領域の高さの変化に反映される。本研究の目的は、複屈折(屈折率テンソル異方性)ならびに直交微分動的弾性率(変形中のゴム状平坦領域の高さ)の観測を独立かつ同時に行い、絡み合い構造ダイナミクスを分子論的に明らかにすることにある。本研究で試作した装置(既設直交2軸レオメーターに新たに光学複屈折装置を組み込んだ装置)を用い、大変形下において微分動的弾性率と複屈折を同時時分割測定することにより、絡み合い構造緩和過程と分子異方性緩和過程は独立であり、前者の緩和時間は後者の緩和時間に比べて極めて長く、絡み合い構造変化は少なくとも室温で事実上不可逆ことが明らかにした。したがって、予測通り、高分子濃厚系の非線形粘弾性の議論は絡み合い構造変化を考慮に入れて行わねばならない。
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