| 研究課題/領域番号 |
10450365
|
|---|
| 研究機関 | 京都大学 |
|---|
研究代表者 |
吉川 研一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80110823)
|
|---|
| 研究分担者 |
小穴 英廣 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20314172)
村田 静昭 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (50157781)
|
|---|
| キーワード | 折り畳み転移 / 高次構造相転移 / 単一分子鎖 / コイルーグロビュール転移 / レーザートラップ / 長鎖DNA / 一次相転移 / ナノ結晶 |
|---|
| 研究概要 |
今年度は「単分子鎖の自己凝縮によるナノ秩序体創出」の課題で研究を行い進展があったのでそのうちの主要な業績を報告する。
昨年度までの研究により、CWのYAGレーザーにより、水溶液中無修飾の単一分子凝縮体のトラップに成功している。これは、単一の長鎖DNA分子が折り畳み転移をおこし、それにより生成した凝縮体が、トラップされることを見い出したものである。一方、一定濃度の中性高分子(ポリエチレングリコール)存在下では、温度の上昇と共に、凝縮したグロビュール状DNAに対する空間的に広がったコイル状DNAの存在比率が増加するということを明らかにしている。これらの研究成果を踏まえた上で、今年度YAGレーザーにより単一の長鎖DNA分子凝縮体のトラップと局所加熱を同時に行った際のDNA分子の高次構造変化について研究を進めた。その結果、DNA分子はレーザーの焦点位置で凝縮したグロビュール状態と広がったコイル状態を周期的に行き来するという大変興味深い現象を発見した。これは、凝縮状態のDNAは加熱することによって広がり、広がると低い温度領域に曝されて再び凝縮状態に向かおうとするためであると定性的には説明でき、非平衡開放系から周期的振動を取り出すという、これまでに例のない画期的な実験である。この振動現象発生の機構については、簡単なモデルに基づいた計算機シミュレーションによって説明することに成功し、この振動現象がリミットサイクル運動であることが示唆された。これらの結果をまとめた論文は、既にChemical Physics Letters誌に掲載済みである。
|
