研究概要 |
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)およびαメチルスチレン―アクリロニトリル(αMSAN)共重合体のガラス状態の動的粘弾性と一軸伸長挙動を調べた.また,力学特性に及ぼすエージングや熱処理の影響についても調べた.これらの高分子ガラスはエージングや熱処理により構造変化を起こし,その構造変化が力学的性質に大きく影響を与えることがわかった.また,これらの高分子成分高分子とするブレンド系はLCST型の相挙動を示し,相分離温度以上の温度で作製したしりょうでは相構造と力学的性質は密接に関係していることも明らかになった.一相状態での力学挙動は各成分高分子のそれらとも異なることもわかった. 円筒状のポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPA)ゲルの内側に圧力を印加してゲルに二軸伸長変形を印加した.変形下でのゲルの体積は未変形状態でのそれよりも増加した.ゲルを膨潤させることのない流体(流動パラフィン)を用いて圧力を印加した場合,ゲルの体積増加の割合は小さく,ゲルの体積変化はゲルの物質定数としてのポアソン比で体積変形量が決まることがわかった.一方,ゲルの溶媒である水を介して圧力を印加すると,ゲルの体積増加の割合は流動パラフィンで圧力を加えた場合よりもかなり大きくなることがわかった.これは,後者の場合にはゲル中の溶媒流れが体積増加に大きな影響を与えているためであることがわかった.すなわち,流れ場中のゲルの体積は材料定数としてのポアソン比で規定される体積増加のみならず,ゲル中を流れる流体の圧によるゲルの膨潤にも大きく影響を受けている.この場合のゲルの体積変化は主に平衡ポアソン比で決まり,体積増加量は印加した圧力に比例することもわかった.
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