研究課題/領域番号 |
10450368
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
梶山 千里 九州大学, 工学部, 教授 (60037976)
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研究分担者 |
佐々木 園 九州大学, 工学部, 助手 (40304745)
菊地 裕嗣 九州大学, 工学部, 助教授 (50186201)
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キーワード | 高分子液晶 / メモリー / スメクチック相 / 電気光学効果 / 光スイッチング |
研究概要 |
(高分子液晶/液晶)複合系の分子凝集状態の規則性や秩序性を増すほどメモリー寿命は長くなるが電気光学応答性は低下する。そのため、応答速度とメモリー寿命はトレードオフの関係にあり、両者を同時に向上させることは困難とされてきた。本研究では、速い応答速度を示す粘性の低いネマチック相と安定なメモリー性を示すスメクチック相との中間的液晶相(pseudo-smectic)や高分子と液晶が共にネマチック液晶でも、これらの混合によって誘起される低粘性のスメクチック相(indused smectic)を申請者らは新たに提案し、分子運動性と凝集構造を最適化することにより、上述した応答速度とメモリー寿命のジレンマを打破し、高速応答機能と安定なメモリー機能を合わせ持つ大面積・フレキシブル(高分子液晶/液晶)複合膜の開発を行う。 ポリメチルシロキサン主鎖とシアノビフェニル、およびフェニルエステル系の側鎖液晶形成基から構成される側鎖型高分子液晶およびそれらとジメチルシロキサンとの共重合体を種々の重合度で合成した。側鎖型高分子液晶と低分子液晶を共通溶媒に溶解させ、溶媒蒸発法により(高分子液晶/低分子液晶)複合系を調製した。複合系は、スメクチック高分子液晶とネマチック低分子液晶の混合分率によってスメクチック相とネマチック相間の連続的な転移が観測された。このような、混合分率の変化による液晶相の連続的な変化は、低分子液晶同士の混合では観測例のない現象であり、(高分子液晶/低分子液晶)複合系に特異な現象といえる。フッ素基を有する高分子液晶と低分子液晶から成る複合系の電気光学効果において、高いコントラストの光散乱-光透過スイッチングと安定なメモリー性が発現した。光透過状態から光散乱状態への応答速度は、フッ素系でない場合に比較して向上することが明らかとなった。
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