本研究では、複合材料板の内部に光ファイバセンサを埋め込み、複合材料中に発生するき裂、とくにトランスバースクラックや層間剥離を監視する知的複合材料クラック発生・進展モニタリングシステムを構築する試みを行っている。埋め込む光ファイバセンサとして、損失変化型プラスチック光ファイバセンサ、光ファイバブラックグレーティングセンサ(FBG)、光ファイバファブリー・ペローセンサ(FPI)を用いた。本年度は、以下の手順で研究を進めた。 (1) 光ファイバが埋め込まれた材料にトランスバースクラックが発生したときの、光ファイバ周辺のひずみ分布を理論的に明らかにするために、3次元有限要素法を用いて検討した。その場合、光ファイバの埋め込み位置、積層構成についても検討し、ひずみ分布に与える影響を求めた。 (2) 光ファイバセンサを複合材料に埋めて、クラックによる集中ひずみが光ファイバセンサの出力に与える影響を実験的に明らかにした。 (3) 損失変化型プラスチック光ファイバセンサについては、光強度損失量とトランスバースクラック発生数およびクラックによる内部ひずみとの関係を明らかにした。 (4) FBGおよびFPIに関しては、センサによって測定される内部ひずみや反射光の周波数分布とクラック位置や発生数との関係を明らかにした。 (5) また、埋め込み位置、埋め込み手法、積層構成と出力との関係も同時に検討し、クラック検出に最適な光ファイバセンサの埋め込み構成を明らかにした。
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