研究概要 |
(1)超音速流実験装置の設計・製作・基本性能テスト (1)昨年度は高圧空気貯蔵タンク(1m^3)と高圧コンプレッサー3台(吐出圧力30気圧)を導入した.本年度はこのシステムの基本性能をまずチェックし,28気圧までの蓄圧が約90分で達成できることを確認した. (2)高圧空気貯蔵タンク出口からは,拡がりノズルを設け,ピラミッド形状の金属板に多数の孔を開けて作った整流板を挿入し,更にその後流に金網を2箇所に設置して,できるだけ安定した流れを作るような手段を講じた.この後流で,超音速ノズルに接続される.マッハ数2.5を10〜20秒間維持する超音速ノズルを設計した.ノズル部は全長約260mmで2次元流を仮定して設計してある.ノズル部の後方には,全長約250mmの定断面観測部があり,石英ガラス観測窓と供に圧力変換器等の計測機器が設置できる.観測部の後方には,約1.5mの拡がりノズルに接続され,排気される. (3)基本性能テストを開始した.観測部に圧力変換器を設置して,圧力の時間履歴を測定した.超音速流によると思われる約10秒間の圧力変化が現れているが,当初目標のマッハ数2.5が実現できたかは不明である.今後は,より直接的な流速測定やシュリーレン撮影等を実施して,定量的な評価を行う必要がある. (2)ラジカル注入による反応促進効果のシミュレーション 昨年度は静止混合気体レーザー着火実験とシミュレーションを行い,光化学分解によって発生したラジカルによる着火促進過程を追究した.本年度は,光化学分解過程を無視して,瞬時にラジカルが注入された場合を考え,水素―空気混合気とメタン―空気混合気について,定容反応過程を数値解析した.シミュレーションによって,(1)ラジカル注入は有効であり,反応誘起時間を大幅に短縮できる,(2)混合気の圧力上昇に伴い,寄与する素反応と反応経路が変化する,といった結果を得た.当初は,流れ場を解析する予定であったが,目標を達成できなかった.今後は,流れ場の解析に着手したい.
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