研究概要 |
本研究では,機能システムの設計時にその安全性に関する構造分析を行い,事故が生起する確率をある精度で推定し,これにより改善すべき事象を抽出して,その対策の効果を予め予測する方法を考える。 また、平常時および非常時における人間の行動パターンを踏まえて,機能システムにおける事故災害の構造を考え,さらに人間と機械の機能配分と人的過誤の発生過程の分析を行い,これにより機能システムの安全性評価のための解析法とリスク解析手法を確立する。 (1) 人的要因を考慮した火災時の避難安全性 年齢別の歩行特性を考慮した群集流の行動モデルを基本として、非常時の反応行動である煙層降下による歩行速度の低下や思考遮断の状態生起を組み込んだ避難モデルを構築している。また、避難安全設計のための評価指標として、避難行動と煙流動の数値シミュレーション結果とを重ね合わせた、避難経路の危険度および人命に危険が及ぶ重大危険度を定義した。この避難モデルにより、客船の公共区画における避難行動の数値シミュレーションを行った。 (2) 船舶火災の拡大条件と火災伝播の現象解析 船舶火災の拡大条件と火災伝播現象の理解のために、多区画構造における火災伝播の様相を、ガスの生成・消費に関してのみ瞬時拡散とし、区画内の乱流熱拡散,壁体間の放射熱伝達および壁体内の熱伝導を考慮したフィールドモデルにより解析した。これにより開口・破損孔がある連結空間の対流熱伝達状態および防熱構造に応じた隣接区画の発火の成否と熱的状態を調べ、火災拡大の限界条件を明らかにした。
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