研究概要 |
最近の計算流体力学の進歩は著しく,船舶・海洋工学の分野においても様々な応用や展開が試みられている.しかしながら,これまでに開発されてきた流れの解析コードにおける最大の難点は,いまだに船尾における縦渦近傍の複雑な流れと乱れ場に対して信頼し得る合理的なモデル,すなわち乱流モデルがないことである.本研究の目的は,この問題を解決するために,船体流場,特に船尾縦渦を伴う流場に適した乱流モデルを開発することである. 本年度(平成12年度)における研究の主眼は,前年度に得られた新しいk-ε乱流モデルの船尾流場計算への適用を継続し,その結果を詳細に検討するとともに,一般の利用に供せられるように乱流モデルの係数および特性を網羅したデータベースを構築することであった.加えて,本乱流モデルを円管内旋回乱流の計算にも適用し,その妥当性の確認も行った.以上の検討の結果,本研究で開発した乱流モデルは,通常のk-ε乱流モデルに比べ,船尾流場の平均速度場だけでなく従来困難とされてきたレイノルズ応力の予測精度を明らかに向上できることを確認した.また本乱流モデルは,円管内旋回乱流などの内部流場へ適用した場合にも十分な精度を有するものであることが明らかとなった.以上の結果より,本年度所期の目的はほぼ達成できたと考えられる.
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