研究課題/領域番号 |
10450386
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 昌彦 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (40155859)
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研究分担者 |
梶原 宏之 九州大学, 工学研究科, 教授 (30114862)
柏木 正 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (00161026)
小寺山 亘 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (80038562)
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キーワード | 浮体式海洋構造物 / ダイナミックポジショニングシステム / H_∞制御 / ゲインスケジューリング / 固定式スラスター / 首振り型スラスター |
研究概要 |
大水深の海域で稼動する浮体式海洋構造物は係留索を使用せず、スラスター等の推進器を制御することで、風・潮流・波等の外乱のもと2次元平面内において定点保持ができ、且つ、ある範囲内で精度よく位置を調節できることが要求される。洋上において浮体が受ける力は、波・潮流・風による漂流力及び波による線形波浪外力であるが、エネルギー効率の良い制御を行うためには、波周波数領域の運動に反応しない位置制御コントローラの設計が必要となる。使用するスラスターの種類としては固定式のものと首振り式のものが考えられる。本研究ではまず、固定式スラスターを使用し、特定帯域の外乱を選択的に抑制する問題に有利で、高度な周波数整形が可能であるH_∞制御理論を用い、波周波数領域の運動に反応しない位置制御用コントローラの開発を試み、数値シミュレーション及び模型実験を行った。その結果、設計されたコントローラを用いるとスラスターが波周波数領域の運動にほとんど反応せず、エネルギーを無駄遣いすることなく精度の良い位置制御が可能であることが検証された。しかし、このコントローラは定点保持を主体として設計されており、回頭角指令値が大きくなると応答が振動的になり、制御性能が劣化してしまう。このため、操業開始時や移動を要する場合等、回頭角指令が大きくなる際には問題を生じると考えられる。そこで次に、大きな回頭角指令に対応できるゲインスケジュールドコントローラの開発を行い、シミュレーション計算・模型実験によりその性能向上を確認した。最後に、波・潮流等の外乱の入射方向の変化に応じて、スラスターの方向を変えることのできる首振り式スラスターを用いた位置制御システムの設計・模型実験を行い、固定式スラスターとの制御性能を比較検討を行った。
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