研究概要 |
イネ野生種間における染色体4のlg座近傍の比較遺伝学的解析を行うため,1g座近傍の遺伝子を探索した.その結果,野生種Oryza longistaminataの有する地下茎を支配する遺伝子がlg座近傍にあることが明らかになった.すなわち,野生種Oryza longistaminataの地下茎は急な傾斜地での陸稲生産地帯にあって,4〜5年の株確立において必要な形質であると指摘されている(IRRI,1989).しかしながら,O.longistaminataとO.sativa間には強い生殖的隔離機構があり,それに係わる遺伝子との連鎖により地下茎のO.sativaへの導入が困難とされている(Ghesquiere,1991).しかしながら,IRRIから導入したC105204(エチオピア)とT-65lgとの間で交雑が成功し,Flはわずかに地下茎が観察された(B型).F2では,地下茎を有するものと通常の株を形成するものに分離でき,その分離比は3:1に適合した.なお,地下茎を示す個体群の中には,顕著な地下茎を示すもの(A型)とわずかに観察されるもの(B型)があった.したがって,O.lomgostaminataの地下茎は基本的には1個の優性遺伝子で制御されているものと推定し,Rhz(t)(Rhizomes)の遺伝子記号を付した.次に,Rhz(t)他の遺伝子との連鎖関係を調べたところ,C105204/T-65lg:1F2で染色体4のlgと37.9%の組換え価が得られた.
|