研究概要 |
本年度は、lg遺伝子と連鎖するPl遺伝子座の各対立遺伝子による組織特異性を明らかにするために、まずPl遺伝子の構造を明らかにすることを試みた.これまでの研究からPlのアリルであるPlwを用いて、典型的なmyc型転写因子をコードするcDNA(OSB1,OSB2)を得ている。今年度はゲノムライブラリーのスクリーニングによりOSB2のゲノミック構造を決定した。その結果、OSB2には約7kbと13kbの非常に長いイントロンが含まれた特異な構造をしていることが明らかとなった. さらに,インド型イネI-102からlg+-Pli領域を台中65号に導入したBC7F1で不稔が生じることが判明した.しかも,全F1個体が半不稔を示しているため,細胞質雄性不稔の可能性が考えられた.これらの自殖後代BC7F2において,lgの分離を調べたところ,いずれも過少分離となった.これらのことから.I-102由来のlg+-Pli領域にはI-102由来の雄性不稔細胞質に対して,部分的に稔性を回復させる遺伝子があって,この遺伝子がlgと連鎖していることが推定された. 一方,lg遺伝子解析も試みた.まず,イネとトウモロコシのシンテニーからイネのlg遺伝子はトウモロコシのlg1遺伝子とオーソログであると推定された.そこで,既に単離されているトウモロコシのlg1の3'末の塩基配列を基にプライマーを設計し,台中65号のゲノミックDNAを鋳型に増幅させた.その結果,設計したプライマーで増幅した断片は722bpで,イントロン2個を含んでいた.
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