研究概要 |
本年度は、lg遺伝子と連鎖するPl遺伝子座の各対立遺伝子による組織特異性を明らかにするために、まずPl遺伝子の構造を明らかにすることを試みた。これまでの研究からPlのアリルであるPlwを用いて、典型的なmyc型転写因子をコードするcDNA(OSB1,OSB2)を得ている。今年度はこの2種のcDNAがPlwの原因遺伝子であるか否かを確かめるために、イネの完熟種子の糊粉層を用いたトランジェントアッセイ系を確立した。この系を用いて確かめたところ、OSB1,OSB2ともに糊粉層でアントシアニン発現させることが明らかとなり、Pl遺伝子座は2つの因子からなる複合遺伝子座であることが判明した。 一方,lg遺伝子については5'側の配列も明らかとなり、しかも第4染色体のBACライブラリーが明らかにされたことにより、ゲノミック構造も明らかとなった。その結果、lg遺伝子は約3.4kbpあり、exonが4個、intronが3個あり、特に、intron1は約2kbpの長さがある特徴的な構造をとっていることが明らかとなった。 さらに、イネの染色体4の長腕末端領域の座乗するをマーカーとして数種の系統からPl-lg領域をT-65に導入して,Pl-lg領域の精細なマップを構築すると共に,抽出される遺伝子の特徴付けを行った。T-65lg×Y-1 F1を雌性親に用いた戻し交雑集団において,lg-Ph-Plwの順に座乗していることが明らかとなった.従来の連鎖地図から考えて,トウモロコシと同じようにlgが末端にあるものと考えられた.また,F1を雄性親に用いた戻し交雑で,これらの遺伝子が過剰分離していた。分離頻度から見てPlw近傍に雄性配偶子における分離を異常にさせる要因があるものと考えられた.これが,配偶体遺伝子であるか,花粉不稔をもたらす遺伝子かは不明である.
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