研究概要 |
1.穎花内及び穂内における花粉数(葯長)の変動 1穎花内の6葯間及び1穂内の上位・下位枝梗間において花粉数と葯長が高い相関を示すことを確認し,これに基づき,花粉数の代わりに葯長を用いて変動を追跡した.1穎花内では,外穎側の左右2本の葯が短くそれ以外の4本の葯が長い傾向があった.同一1次枝梗上では上部に着生している葯ほど短く,また,上位枝梗と下位枝梗とでは上位枝梗の葯が短かったが,それらの変動の程度には品種による差が見られた. 2.窒素及びりん酸施肥による花粉数の変動 多窒素条件で栽培すると花粉数が減少することを確認した.さらに,多窒素条件下においては,りん酸を多く施用することにより多窒素による花粉数の減少を軽減し,その結果,冷害危険期における冷温による不受精の発生も軽減できることを明らかにした. 3.低日照条件下における花粉数の変動 遮光栽培により花粉数が減少することを明らかにした. 4.植物ホルモンの投与による冷温処理区受精率の変動 ジベレリン及びゼアチンの投与により,冷温処理区の受精率は減少傾向を示した.この受精率の減少は,少肥区よりも多肥区で著しく,ゼアチンよりもジベレリンの影響が大きかった.また,上位枝梗あるいは1次枝梗で影響が大きく,特に,多肥区1次枝梗のジベレリン十ゼアチン区では顕著に低下した.
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