研究課題/領域番号 |
10460009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂 齋 東京大学, 大学院・農学生命科学研究所, 教授 (30292791)
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研究分担者 |
米川 智司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70191658)
高野 哲夫 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (30183057)
折谷 隆志 富山県立大学, 短期大学部, 教授 (80088997)
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キーワード | イネ / 収量形成 / 日変化 / スクロース / 2,4-D / カルス / 種特異性 |
研究概要 |
本研究は、イネの生殖成長期の穂形成と穂への炭酸同化産物の蓄積に対する内生エチレンの能動的な関わりを調べ、イネの収量形成機構を解明することにある。 今年度は、光合成の場である葉に着目して、主に、葉身におけるエチレンと炭水化物の動態を明らかにすると共に、イネをはじめ数種づつの単子葉・双子葉植物のカルスでのエチレンの動態も予備的に調べた。 イネの葉身におけるエチレン生成量は著しい日変化を示し、最小位を示す明け方から増高して、午後1時ころに最高になる。その後は減少へと反転して、翌日の明け方に再び最小値になるまで徐々に減衰する。この時、炭水化物の1つのスクロースは、エチレンの動きにほぼ完全に同調して変化した。デンプンもまた頻似の変動をするが、量的にはそれらの1/10程度しかないグルコースやフルクトースは日変化しなかった。外生的にスクロースを葉に投与すると、投与後の時間に応じて内生スクロース量が上昇すると共にエチレン生成も増高した。エチレンは、スクロース代謝への関与を通して、デンプンの合成・蓄積あるいは転流に深く関わっていることが示唆された。 イネのカルスでは、培地ホルモンの2,4-D濃度に無関係にエチレン生成速度は極めて少量で、且つ一定であったが、ダイズ等の双子葉では、イネの20〜50倍量のエチレンを常に生成し、且つ培地のホルモン濃度に依存して大きく変動した。これは、イネの単子葉植物としてのエチレン生成の種特異性を示唆している。
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