研究概要 |
本年度は,推奨できる露地型養液栽培システムの選定と培地ごとの培養液管理法について特定の国・地域の気象条件,栽培地,作目を想定し,前年度までの研究成果をふまえて検討した.また,砂や有機質を混合した培地で栽培し,栽培システムと併せて検討した. 栽培システムについては,生育のばらつきを改善するために,ベッド勾配を短軸方向にのみにして,排液を回収できるように新たに試作した栽培ベッドを採用した.ベッド幅は培地の省資源化を考慮して15cmとし,株間15cmの低段密植栽培でトマトを栽培した.その結果,掛け流し型システムにおいて,点滴チューブを用い,多頻度で日射量に比例した灌液を行った場合,培地内の無機成分組成が安定し,植物体の生育が良好となった.また,培地の混合試験を行った結果,ピートとバークの割合が25:75であるとき,培地に適度な毛管特性が与えられ,植物体の生育,収量も良かったことから,前年度に好適な培地であったもみがらくんたんとともに,露地型養液栽培における培地として有望であることが示唆された.一方,砂を培地として用いた場合,培地の保水力が低いため,乾燥地等の強い水ストレス環境下で栽培を行う際には灌液方法をより少量,多頻度で与える必要があると思われた.
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