スイカは、わが国における重要な果菜である。スイカ果実の果肉品質ほ、重要な形質であるが、」その遺伝性について.は不明なことが多く、そのために遺伝子操作に関する研究もない。わが国のスイカ品種の成立を研究した熊沢三郎氏によると、奈良盆地の重粘土地帯で育種された品種アイスクリームなおの大和系統を千葉県の砂質土地帯で栽培すると、肉質は緊密ではなくなる。そのために千葉県では品種都の系統が育種された。またその系統を重粘土地帯で栽培すると、肉質は締まりすぎて商品性がない、という。このように、スイカの肉質は遺伝的に支配され、また同時に強く土質(砂質と粘質)影響されることを示す観察が記述されている。本研究は、生埋学的な実験方法により、遺伝性と土質の影響を明確にすることを目的とする。 (1) 千葉県みかど育種農場および奈良県大和農園においてスイカ育種における土壌適応性形質に関する情報と品種の収集を行った。しかし、現在の育種当事者はほとんど土壌適応性を意識していないことが明らかとなった。その理虫は、現在では接ぎ木栽培がなされ、接ぎ木が土壌適応性の問題を克服しているのではないかということであった。しかし、その正拠はどこにもなかった。 (2) 一方、聞き取り調査の結果、兵庫農試でスイカ果肉硬度が土性によって影響されていることを示唆する結果が得られていた。 (3) 粘質(水田)土壌と壌土(畑土)を混ぜて、コンテナー栽培を行った。しかし、土の量が不足(20L)していたため、結実が悪く、栽培実験を来年度繰り返すこととした。
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