研究概要 |
1.トウガラシ品種'CH-19甘'の果実発育にともなうカプサイシノイド類似非辛味性新規物質であるカプシノイドの含量について検討した.開花後10日目より果実内にカプシノイドの生成が認められ,開花後30日目に最高の含量となり,開花後40日目にはその含量は最高含量の20%程度まで減少した. 2. 'CH-19甘'果実の収穫時期を異にしたカプシノイド含量は,夏期に収穫したものが秋期に収穫したものに比べ高かった. 3.カプシノイド高含量の新しい系統は現在選抜中である. 4.果実にカプシノイドを含まない品種に,カプシノイドの生合成の中間産物であるバニリンを果実中に注入すると,胎座部にカプシノイドの生成が認められた. 5.Std-ddYマウスにカプシエイトを経口投与することにより,血中アドレナリン濃度,グルコース濃度および遊離脂肪酸濃度が増加した.また,カプシエイトを経口投与することによりマウスの酸素消費量が増加した.これらの結果から,カプシノイドは動物のエネルギー代謝を促進することが明らかとなった. 6.カプシエイトのラットへの血中投与によりアドレナリン分泌が促進された. 7.カプシノイドの前駆体であるバニリルアルコールと8-メチル-6-ノネン酸メチルを基質とし,遊離型並びに固定型リパーゼPL,QLを反応させることによりカプシノイドが合成できることを明らかにした. 8. 'CH-19甘'の胎座組織をアルギン酸ナトリウムで固定して,バニリンを含む培地で培養するとカプシノイドが合成されることを認めた.
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