研究課題/領域番号 |
10460021
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高藤 晃雄 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026598)
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研究分担者 |
日本 典秀 農水省蚕糸, 昆虫農業技術研究所・遺伝育種部, 研究員
矢野 修一 京都大学, 農学研究科, 助手 (30273494)
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キーワード | ハダニ / 遺伝的マーカー / 個体群構造 / 移動 / 遺伝的変異 |
研究概要 |
ハダニ類は移動力が限られ、近親交配が行われるために個体群が隔離されやすい。しかし微少で可視的な変異に乏しいため、個体群間の遺伝的交流を検出するのが困難である。本研究では、異なる作物間でのハダニの個体数変化と移動を調べ、同時にそれを明確にするための遺伝的マーカーの検出技術の開発を試みた。 1. 和歌山県中部のスイカとエンドウがと季節的にとぎれて作付けされる圃場とその周辺植生において、カシザワハダニの発生パターンとそれらの間の個体群交流を調べた。夏期、スイカの収穫によって圃場に寄主がなくなる時期でも、ハダニは周辺のクサギで個体群を維持し、エンドウが生長するとその圃場に侵入した。また、冬季クサギが落葉するとハダニは下草のカラスノエンドウに移動して越冬した。この個体群は休眠性を有したが、休眠は浅く、12月下旬にはほぼ覚醒していた。このように、圃場周辺の植生の存在は、作物がとぎれる圃場でカンザワハダニが定着して発生する重要な要因であった。 2. 異なる寄主植物間、個体群間のハダニの遺伝的交流を具体的に検出するために、個体別に種内変異を検出する遺伝的マーカーの開発を行った。その結果、各地から採集したカンザワハダニ19個体群について、核ゲノムのrDNAのITS領域と、ミトコンドリアのCOI領域で、それぞれ13および31塩基で多型を確認した。 3. MDHアロザイム変異を遺伝的マーカーに用いてナミハダニの黄緑型と赤色型の生殖隔離の程度を調べた。2系統間には遺伝子交流が認められたが、その程度はわずかであった。
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