研究概要 |
1. 卵形質突然変異,矮小卵(emi)の卵黄タンパク質形成に関する解析 受精能並びに孵化機能を有す小卵突然変異,矮小卵(emi)の卵黄タンパク質の組成を分析したところ,主要成分としてvitellin,30Kタンパク質および卵特異タンパク質(ESP)が正常と同様に検出された。更にそれら3種の卵黄タンパク質主要成分の含量割合は正常卵のそれらと同じであった。一方,蛹雌体液中にはvitellinの前駆物質であるvitellogrninや30Kタンパク質が正常と同様に充分量存在し,卵黄形成の進行に伴って逐次減少した。これらの分析結果から矮小卵遺伝子emiは卵サイズ決定にのみ関与していつものと推察した。 2. 矮小卵(emi)卵殻の構造解析 卵殻前極部に位置し,精孔部を形成する花弁状の紋様が観察されるものの,花弁数が少なく,一重であった。後極部にみられる顆粒構造は不規則でかつ大きい粒状を呈していた。側面部に観察される網目状区画(polygon)の面積は小さくかつ側面部全体のpolygon総数も少なく,polygon内部にみられる小瘤の数も少なかった。これらの観察結果から矮小卵遺伝子emiは濾胞細胞の増殖と細胞サイズとを制御するものと結論した。
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