研究課題/領域番号 |
10460028
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
南澤 究 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教授 (70167667)
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研究分担者 |
津田 雅孝 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教授 (90172022)
三井 久幸 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (40261466)
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キーワード | ダイズ根粒菌 / 挿入配列 / 遺伝的多様性 / 根粒形成 / 窒素固定 |
研究概要 |
本研究は、通常のダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)から挿入配列(IS)の関与するDNA再編成により生成したと考えられるB.japonicum HRS株の生成機構と生態的な特徴を明らかにし、その成果を生かしてダイズ根粒菌の接種技術の方向性を示すことを目的としている. ダイズ根粒菌HRS株の地理的分布を調べるために、HRS株のみに存在するIS1631を単生の菌体からだけでなく、バクテロイドからもPCR増幅し検出する方法を確立した.この方法によりIS1631を保有する株がアメリカ合衆国、タイ、韓国、中国の株から検出され、世界各地のダイズ畑土壌におけるHRS株の生息の普遍性が示唆された. 圃場生態系におけるHRS株の生存に有利な性質(種内競争因子)を解明するためHRS株がわずかに存在する土壌を(A)畑条件下、(B)水田を想定した湛水条件、(C)グルコースを加え強い還元状況を作り出した湛水条件におき、HRS株の出現頻度の変化をIS1631を検出する方法を用いて追跡したところ、(B)(C)の条件でHRS株の出現頻度が有為に増加していた. HRS株のみにIS1631が必ず存在しているので、IS1631の感染がHRS株生成の引き金になっている可能性が考えられた.そこで、2個のIS1631とカナマイシン耐性遺伝子から構成される人エ複合トランスポゾンを作成し、接合によりIS1631を持たない通常のダイズ根粒菌に導入するためのブラスミドを構築した. 以前本研究室においてHRS株からの根粒形成遺伝子nodの水平伝達が観察された.遺伝子の受容菌とし、B.japonicumに極めて近縁でニトロゲナーゼ遺伝子nifおよびヒドロゲナーゼ遺伝子hupを保有している低栄養細菌Agromonas oligotrophica S58にカナマイシン耐性遺伝子を導入した変異株を構築した.
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