1. 目的:(1)根とK-バーミキュライトとの間で行われる反応を明らかにするために、牧草の根から分泌される有機酸の同定・定量を行う。(2)K-バーミキュライトの層間に固定されたカリウムの挙動およびその底面間隔の変化を検討する。(3)(1)および(2)の結果をもとに、根圏土壌生態系における牧草根分泌中の有機酸と粘土に固定されたカリウムの挙動との関係等を考察する。 2. 平成10年度の研究実施計画:(1)牧草根圏土壌生態系モデル倍地の作成、(2)(1)の培地を用いた牧草の培養および根分泌液採取、(3)試料の分析:(1)粘土試料の底面感覚のX線回折、(2)培地試料の無機イオンの原子吸光分析、および(3)倍地試料の有機酸のHPLC分析。 3. 成果:(1)K-バーミキュライトの底面間隔は牧草根の量の増加にともなって、拡大作用が強まることが明らかにされた。(2)根から分泌される有機酸については、敢えて精製を行わずに分析をしたにも関らず既知の有機酸数種(シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸等)が同定され、それらはKの欠乏や明暗条件によって分泌量のみならず分泌する根の部位も異なっていた。 4. 来年度の計画:(1)3.の(2)で概括的に明らかに出来た牧草根分泌物中の有機酸の同定および定量をより精確に行う。(2)同定有機酸とK-バーミキュライトと反応させ、それらの底面間隔拡大作用を確認する。(3)3.の(3)で測定できなかった溶液中のKイオン濃度を定量する。
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