研究概要 |
超好熱性古細菌Thermococcus litoralisの4-α-グルカン転移酵素について以下の点を明らかにした。 (1) 本酵素の遺伝子の発現系の改良:我々が既に開発した発現系で、本酵素は、大腸菌を宿主として、古細菌から精製するよりも数十倍良い収量で精製する事が出来るが、さらに収量を増やすために、コドン使用頻度の検討を行い、大腸菌ではArgの稀少コドンであるAGG,AGAが本酵素遺伝子では主要なコドンであることを考慮して、これらのtRNA(Arg)をプラスミドによって補給する系を開発した。これにより発現量は増加したが不溶化したため、さらに大腸菌GroESLを共発現させることにより、可溶性画分に従来の5倍以上の収量で酵素を生産させることが出来た。 (2) 精製酵素をポリエチレングリコール等により結晶化させ、シンクロトロン放射光を用いて解析したが、格子定数が大きく、3Åより良い反射は得らなかった。結晶化条件を更に検討中である。 (3) 本酵素唯一のシステイン残基を部位特異的変異法により他の残基に置換した変異型酵素を作製したところ、アラニンに変換した酵素では活性・安定性ともに低下していた。また、活性中心の候補と目される酸性アミノ酸残基のうち、本酵素ファミリーの間で保存性の高い配列モチーフに含まれているもの8カ所について、同様に他の残基に置換した変異型酵素を作製したところ、Glu-123,Asp-145,Asp-214,Glu-216,Asp-354が活性中心またはその近傍に位置丈ることが示唆された。
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