研究課題/領域番号 |
10460041
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 光 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (80026541)
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研究分担者 |
井沢 真吾 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (10273517)
真野 純一 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (50243100)
井上 善晴 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (70203263)
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キーワード | Yap1 / グルタチオンペルオキシダーゼ / チオレドキシン / チオレドキシンペルオキシダーゼ / 熱ショックストレス |
研究概要 |
(1)Yap1はSaccharomyces cerevisiaeにおけるAP-1様転写因子であり、多くの抗酸化系酵素遺伝子の発現を制御している。チオール-ジスルフィドオキシドレダクターゼの一つであるチオレドキシンを欠損させると、Yap1が構成的に核に局在し、その標的遺伝子の発現レベルも上昇することを見出した。チオレドキシン欠損株(trx1Δ/trx2Δ)では細胞内グルタチオン含量も増大したが、酸化的ストレスに対しては脆弱であり、これはチオレドキシン欠損の影響が強く現れているためであると考えられた。(2)S.Cerevisiaeに熱ショックストレスを与えると酸素呼吸レベルが上昇し、その結果、細胞内酸化度も上昇した。またこの時、グルタチオン合成系酵素をコードするGSH1、GSH2両遺伝子の発現も上昇し、グルタチオン含量も増大した。Gsh1欠損株では熱ショックストレスにより呼吸欠損株の出現頻度が上昇したことから、熱ショックストレスによりミトコンドリアで発生する活性酸素を消去するため、グルタチオン合成系酵素遺伝子の発現レベルが増大したと考えられた。(3)ゲノムプロジェクトの結果、S. Cerevisiaeには3つのグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)ホモログが存在することが示された。そこでそれぞれのGPxホモログ遺伝子を破壊し、その機能を解析した。その結果、構成的に発現しているのはGPX3遺伝子であり、その欠損株は酸化的ストレスに感受性を示した。GPX2遺伝子は酸化的ストレスによってYap1依存的に発現誘導された。チオレドキシンペルオキシダーゼ欠損株(tsalΔ)の解析から、GPX2遺伝子産物はチオレドキシンペルオキシダーゼのバックアップ機構として機能していることを示唆する結果が得られた。
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