研究概要 |
当研究室において発見したCa^<2+>シグナルによる細胞周期G_2/M期制御機構(Mizunuma et al.,Nature,392,303-306,(1998))の詳細を解析している。Ca^<2+>シグナルによる細胞周期制御に欠陥のあるscz変異株を多数取得し(14の相補グループに分類されている)、順次解析しているが、今年度は特にscz7変異遺伝子を詳細に解析した。scz7の表現型を相補する遺伝子を取得し解析した結果、scz7変異株はMCK1遺伝子(GSK-3ファミリープロテインキナーゼをコードする)における変異であることが明らかになった。Mck1を介するHsl1のタンパク質量の制御によるSwe1活性化機構の詳細を明らかにした。 つぎに、同じスクリーニングで取得された変異遺伝子scz6について解析した。scz6はプロテインキナーゼCをコードするPKC1遺伝子の変異alleleであることを明らかにした。scz6変異は、zds1変異のCa^<2+>感受性表現型のうち、Ca^<2+>による増殖阻害、芽の極性成長を抑圧したが、G_2期遅延を戻すことができなかった。詳細な解析の結果、Ca^<2+>シグナルは、我々がすでに明らかにしたRho1を介するPkc1-MAPキナーゼカスケード活性化によるG_2期遅延誘導の他に、Rho2-Pkc1活性化によるG1サイクリン(Cln1/2)転写活性化による芽の極性成長を促進する新規経路が存在することを明らかにした。転写活性化は、転写因子Swi4を介して行われることも明らかにした。 他にscz5およびscz7についても解析を行っており、興味深い成果が得られている。
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