研究課題/領域番号 |
10460045
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
別府 輝彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (80011873)
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研究分担者 |
上田 賢志 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (00277401)
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キーワード | Symbiobacterium thermophilum / symbiosis / growth factor / 16S rDNA / Bacillus / dialyzing culture / anaerobe / pH |
研究概要 |
耐熱性トリプトファナーゼ生産菌Symbiobacterium thermophilum(ST)は、好熱性Bacillus S株(BS)との共存下で生育する好熱性共生細菌である。これまでにSTは16SrDNAによる分類でグラム陽性細菌に含まれる全く新しい属を形成する一方、草食獣の消化管に一般的に生存していることが明らかであるが、本年度新たに行ったスクリーニングにより、草食獣以外の動物の糞便中にも高い割合で検出されること、また固形食餌や飼い葉サンプル中にも存在していることが明らかとなり、動物腸管内-肥料-食餌の環境サイクルに分布することが強く示唆された。また、生育因子の同定を目的として実験で、透析培養装置を用いてSTとBSを透析膜で隔てて培養することでSTの単独培養が可能であること、培地のpHを7.5に調整することで僅かなSTの単独生育が見られること、さらにBS培養上清を培地に添加するとSTの生育が促進されることを見いだした。次に、BS培養上清中に含まれている生育促進因子の耐熱性を検討したところ、1分間の処理で活性が1/2以下に減少することがわかった。また、透析膜を用いてBS培養上清を高分子部分と低分子部分に分離したところ、そのどちらにも活性があること、高分子部分をSTと透析膜を隔てて添加しても活性が得られることが明らかになった。また、BS培養上清の硫安塩析を行うと40-60%の分画に活性が回収できることがわかった。これらの結果から、ST生育因子は透析培養装置のBS側に存在する高分子物質と、透析性の低分子物質の二成分からなると推測される、現在BS培養上清からの生育促進因子の分離精製を、培地pHの効果と併せて詳細に検討している。
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