研究課題/領域番号 |
10460054
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 敞敏 東北大学, 農学部, 教授 (80005610)
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研究分担者 |
植村 順子 東北大学, 農学部, 教務職員 (10241556)
川井 泰 東北大学, 農学部, 助手 (00261496)
北澤 春樹 東北大学, 農学部, 助手 (10204885)
齋藤 忠夫 東北大学, 農学部, 助教授 (00118358)
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キーワード | バクテリオシン / ラクトバチルス・ガセリ / ガセリシンA / クローニング |
研究概要 |
Lactobacillus gasseri LA39株により生産されるバクテリオシン、ガセリシンAは、先にクローニングによる一次配列の推定、およびその抗菌スペクトルもリステリア、バチルス、黄色ブドウ球菌などの食中毒菌におよぶことが判明している。しかしながら、N・C末端のアミノ酸配列は何らかの要因により解析することが出来ず、今回は、化学的に全一次配列の決定を試みた。 まず、L.gasseri LA39株を改良MRS培地に培養し、その培養上清もしくは菌体からの溶媒抽出から最終的にステップワイズ溶出による逆相クロマトグラフィーによりガセリシンAを単離・精製した。精製ガセリシンAを、BNPSスカトール(トリプトファンのC末側を切断、ガセリシンA中に2残基)による化学的切断、およびリシルエンドペプチダーゼ(リジンのC末側を切断、ガセリシンA中に1残基)による酵素消化を行い、各断片をSDS-PAGEにて分離した後、アミノ酸配列を決定した。解明した全アミノ酸配列は、構造遺伝子のクローニングより推定した配列と全て一致しており、N・C末端がリンクした環状構造となっていることが判明した。この結果、ガセリシンAは、アミノ酸58残基からなる、ランチオニンなどの修飾アミノ酸を全く含まない、環状構造を有するクラスIIのバクテリオシンと決定された。化学的に全構成アミノ酸が決定されたバクテリオシンは数少なく、中でも環状構造を有したバクテリオシンとしては世界で3例目、乳酸桿菌で初めての事例であった。
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