研究概要 |
高度不飽和脂肪酸としてエイコサペンタエン酸(EPA)を使用し、化学合成により、パルミチン酸と組み合わせた各種トリアシルグリセロールを調製した。本年度に合成したトリアシルグリセロールは以下の分子種である。 EEE(Trieicosapentaenoylglycerol)、EEP{1,2(or2,3)-Dieicasapentaenoyl-3(or1)-palmitoylglycerol}、EPP{1(or3)-Eicasapentaenoyl-2,3(or1,2)一dipalmitoylglycerol} これらのTGについて、トリパルミチンと混合し脂肪酸組成を各系ともEPA/パルミチン酸比を1:2に調整して25℃の暗所で保存し、酸化臭の原因となる揮発性物質を固相マイクロ抽出法によるヘッドスペースガスクロマトグラフィー分析で比較した。さらに各種TGから生成するEPAヒドロペルオキシドの異性体組成をHPLCを用いて分析した。 その結果、揮発性物質の生成量は、TG分子中のEPAのモル数と密接に相関し、EEE/PPP(1:2)>EEP/PPP(1:1)>EPPの順になった。主要物質はいずれのTGでも2,4-Heptadienal、2,4,7-Decatrienalを初めとするアルデヒドで共通していたが、EEEには1-Propanol、2-Butenalなどの特有な成分を検出された。ヒドロペルオキシドの構造は、TGの間ではほとんど差がなかった。しかし、メチルエステルとは大きく異なり、TGでは5-ヒドロペルオキシドがほとんど生成せず、グリセロールによる保護作用が示唆された。
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