研究課題/領域番号 |
10460064
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宝月 岱造 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (10107170)
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研究分担者 |
奈良 一秀 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助手 (60270899)
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (80211895)
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キーワード | アカマツ / フタバガキ科 / コツブタケ / 外生菌根菌接種源 / 母樹 / 培養土 / チチアワタケ |
研究概要 |
1.根外菌糸体で繋がったアカマツ2個体間の炭素の移動を14Cトレーサー実験により調べた。そこ結果、標識した苗の地上部で固定された炭素は地下部へ直ちに移動し、菌根、根外菌糸体を経て、非標識苗の菌根まて運ばれる過程が明らかにされた。しかし、比標識苗の地上部や地下部の非菌根部分には14Cが観察できなかったことから、菌から植物へのCの移動は起こらなかったものと考えられる。 2.外生菌根菌8種10菌株を用いた接種実験により、菌による成長促進効果は種によって大きく異なるほか、同一種内の菌株間でも大きく異なることが明らかにされた。また、根外菌糸体の広がりや菌根形成率と苗の生長に相関がないことから、個々の菌株ごとに異なった生理機能を持つことが推測される。 3.同じ菌根菌のついた2種のフタバガキ苗を接種源(母樹)として、フタバガキ実生に菌根菌を接種したところ、両母樹とも接種した苗に菌根の形成が見られた。接種される実生と母樹が同じ種の場合は著しい接種効果が見られたが、違う種が母樹の場合ほとんど接種効果が現れないことから、接種源となる樹種の選抜が重要であることが示唆される。 4.フタバガキ菌根菌を、土壌粒径の異なる鹿沼士で栽培したところ、粒径2〜4mmの処理区で発達した根外菌糸体が見られ、それよりも大きい粒径や小さい粒径ではほとんど根外菌糸体が発達しなかった。 5.根外菌糸体の発達過程をコツブタケとチチアワタケで比べてみたところ、両者とも細かい吸収菌糸の集合体をつくるが、チチアワタケでは形成後1ヶ月でほとんどが死滅するのに対し、コツブタケでは太い菌糸束に発達していくのが分かった。
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