研究課題/領域番号 |
10460074
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
島田 幹夫 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (50027166)
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研究分担者 |
服部 武文 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (60212148)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 銅耐性菌 / 木材腐朽菌 / グリオキシル酸回路 / イソクエン酸リアーゼ / リンゴ酸合成酵素 / シュウ酸合成 / TCA回路 / オオウズラタケ |
研究概要 |
1.銅耐性腐朽菌に特徴的なシュウ酸生合成は各種の木材腐朽菌キノコ(白色と褐色腐朽菌)にも共通点を持ち、従来の学説に反して、グルコース炭素源に抑制されないグリオキシル酸回路を持ちTCA回路と連動してシュウ酸合成を推進していることを証明した。また、グリオキシル酸回路は動物と植物には一般的には存在しないとされているので、本代謝回路の存在は担子菌類に普遍的な特徴である可能性が高い。 2.グリオキシル酸回路の鍵酵素であるイソクエン酸リアーゼ(ICL)とリンゴ酸合成酵素(MS)をオオウズラタケ褐色腐朽菌から分離し、担子菌類としてははじめて精製することに成功しその特徴を解明した。 3.シュウ酸生合成の駆動力はTCAとグリオキシル酸回路であるが、その役割は呼吸酵素系と連動したエネルギー獲得のための生化学反応であることが判明した。実際鍵酵素ICLをイタコンサン酸で特異的に阻害するとオオウズラタケ菌糸の成長もシュウ酸合成も制御されることが証明された。 4.また、木材腐朽菌のTCA回路には通常、植物と動物には見られるα-ケトグルタール酸が欠損していることがわかり他のキノコの研究例との一致点が見出された。しかし、従来の報告とは異なり、ICLの重要性とシュウ酸生合成が栄養細胞増殖には重要であることが確認され、オオウズラタケの子実体形成時においてはシュウ酸生合成酵素が消失し、グリオキシル酸回路酵素ICLに代わってTCA回路の鍵酵素であるICDHが主要な経路として活性化することを発見した。即ち代謝経路の「バトンタッチ」が実施されるのである。 5.以上、オオウズラタケのライフサイクルにおいて、シュウ酸合成、グリオキシル回路、及びTCA回路の代謝調節機構が存在することを菌類の研究では初めて明らかにした。
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