ニジマスの肝細胞培養法を改良し、エストロゲン(E_2)添加によりビテロゲニン(VTG)がin vitroで合成・分泌されることを確認後、本法を用いて平成10年度は次の結果を得た。1. Alは培養肝細胞の生存率(70-95%)に影響がなかった。 2. E_2(5×10^<-6>M)により誘導されたVTGをSDS-PAGEで分析し、定量したが、培地にAl(10^<-6>-10^<-5>M)を添加することによりVTGの合成は濃度依存的に抑制された。VTG以外の肝細胞由来のタンパク質に対するAlの影響はなかった。 3. Caはin vivoでAlによる傷害を軽減することが知られている。しかし培地のCa濃度を増加してもAlによるVTG合成抑制作用は変わらなかった。 4. E_2により肝細胞のVTG合成がプライムされている培地にAlを加えることによっても、VTG合成は抑制された。 5. VTGのmRNAの発現にAlがどの様に影響及ぼすか検討中であり、予備的知見では、AlはmRNAの発現を抑制するようである。この実験は次年度に継続し、詳細に調べる予定である。 以上の結果から、VTGは他のタンパク質に比べてAlに対する感受性が高いく、Alは特異的にVTGの合成を抑制することが明らかになった。
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