研究概要 |
1. 異物認識を促進する液性因子レクチンのcDNAクローニング これまでの研究において、血球による異物認識を促進すると考えられるレクチンの分子としての同定および精製とそれに続いてのcDNAクローニングを試みた。その結果、マガキ血リンパの中に固定ヒツジ赤血球に対する貧食を有意に亢進するレクチン分子の存在を確認することができた。しかし、完全に精製するには至らず、またcDNAクローニングはできていない。 2. 血球の異物認識分子の同定 今年度は、外因性異物に対する血球の認識分子の同定を行った。最初に、酵母を異物として、その細胞壁構成成分の中から、β-1,3-グルカンを取り出したザイモサンおよびザイモセルの3種類の異物に対する貧食能の違いを測定した。その結果、血球の貧食率は、いずれの異物に対しても違いはみられなかったが、貧食指数については、ザイモサンに対する値が酵母に対する値よりも有意に高いことが明らかとなった。また、貧食指数の最高値は、ザイモサンで43になったのに対し、酵母とザイモセルに対しては25であった。このことから、酵母およびその細胞壁構成成分に対する血球の認識には、β-1,3-グルカンの関与が考えられるが、高純度に精製されたザイモセルよりもザイモサンの方が良く貧食されたことについては、β-1,3-グルカン以外に認識・貧食を促進する分子が異物の側に存在することを示唆した。 培養基底面に対する血球の接着をフィブロネクチンなどに存在するRGDペプチドが阻害することを明らかにした。このことは、血球にインテグリンあるいはその類似分子が存在することを示した。
|