研究課題/領域番号 |
10460080
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 勝義 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50005617)
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研究分担者 |
高橋 計介 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80240662)
松谷 武成 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90134030)
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キーワード | マガキ / 血球 / 貪食 / 生体防御 / 異物認識 / フィブロネクチン / インテグリン / β-1,3-グルカン |
研究概要 |
1.異物に対する接着機構に関与する血リンパタンパクの存在と血球表面の認識分子 マガキの血リンパ上清およびヒト血漿フィブロネクチンにより、培養基底面を前処理すると、血球の接着・伸展率が無処理の場合と比較して2倍以上高くなることを明らかにした。そして、ここでみられた血リンパ上清やフィブロネクチンを介した血球の接着は、細胞外基質を構成する細胞接着能を有するタンパク(フィブロネクチンやビトロネクチンなど)の接着部位であるRGD(アルギニン-グリシン-アスパラギン酸)配列を基にした合成のRGDペプチドを共存させることにより、ほぼ完全に抑制された。さらに新しい知見として、RGDペプチドの対照ペプチドで、これまで報告されている細胞に対しては接着阻害作用を示さないRGE(アルギニン-グリシン-グルタミン酸)ペプチドの添加によっても、マガキ血球の接着・伸展は有意に抑制された。これらのことから、血球には接着タンパクの特定部位を認識して、異物に対する接着を促進するインテグリン様の受容体の存在が示唆された。しかし、その分子構造はこれまで知られている受容体と異なっている可能性があり、同定を進めている。 2.血球における異物認識分子の同定 酵母の細胞壁成分であるザイモサン・ザイモセルに対する血球の貪食能発現の実験、また可溶性の多糖類による貪食の阻害効果に関する実験を行った結果、血球によって異物と認識される異物粒子側の構成成分として、β-1,3-グルカンあるいはペプチドグリカンが重要であると考えられた。また、阻害反応は特定の多糖類を添加した時のみに認められ、血球に特定の分子を認識する部位の存在が考えられた。
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