研究概要 |
[冬季におけるマガキの生産構造解析] マガキは冬季に著しく増重するが、その際に利用している餌料については種類、量ともに不明な点が多い。今年度は、冬季の餌料を推定する目的で浜名湖において、マガキ、水中懸濁物および底泥の安定同位対比(δ^<13>C、δ^<15>N)を測定した。 [方法] マガキおよび水中懸濁物は引佐細江(I)、本湖湖奥部の佐久米(II)、猪鼻湖(III)、松見ケ浦(IV)、湖口部の観月園(V)において1996年9月30日から1997年4月23日にかけて約1.5-2.5月おきに採取した。底泥は湖北部各支湖の湖心において上記の採集の間に採取した。水中懸潮物はGF/C濾紙上に捕捉した。マガキは「生殖・消化部」を摘出して、そのホモジナイズ(H)の他、10%トリクロロ酢酸(TCA)溶液によって分離したグリコーゲン画分(G)とタンパク質画分(P)を試料とし、質量分析計でδC^<13>、δN^<15>)を測定した。 [結果] マガキの画分G,Pのδ^<13>Cは調査期間を通して地点I、III、II、IV、Vの順に低かった。これは各地点において、低いδ^<13>C値を持つデトライタスと、高いδ^<13>C値を持つ珪藻等の植物に対するマガキの餌料の依存度が異なるためと推察された。画分G,Pのδ^<15>Nは地点V、IV、I、III,、IIの順に低かった。特に湖奥部の地点I、IIIでは、H、G,Pのδ^<13>Cは水中懸濁物と同様の季節変化を示し、2、4月の値はH,Pで-20以下、Gで-18以下と11月に比べて3以上低下し、冬から初春にはデトライタスに対する依存度が高いと推定されたe
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