研究分担者 |
山本 栄一 鳥取県水産試験場, 栽培漁業部, 研究員
荒井 修亮 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (20252497)
木下 泉 京都大学, 農学研究科, 助手 (60225000)
青海 忠久 京都大学, 農学研究科, 助手 (10144338)
西田 睦 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (90136896)
|
研究概要 |
これまで試料を集積してきた日本海沿岸に加え,高知県〜青森県に至る太平洋沿岸域でヒラメ稚魚の採集を行った.和歌山県沿岸,宮城県女川湾及び岩手県宮古湾など局所的には比較的稚魚密度の高い海域も認められたが,全体として日本海沿岸,特にその西部海域に比べて太平洋沿岸域のヒラメ稚魚密度は著しく低いことが明らかとなった.得られた稚魚は耳石によるふ化日,着底日ならびに稚魚期の成長,鰭条数の計数,mtDNA調節領域の塩基配列等の分析に用いた. 熊本県天草産のヒラメ親魚より得た卵を用い,14,18,22℃の水温下で飼育を行い,仔魚期の成長速度や鰭条数と水温の関係を調べている.18℃で飼育した仔魚は,着底後10,14,18,22,26,30℃の水温区に移し,全長50mmまで飼育を行い,水温と稚魚期初期の成長速度ならびに性比の関係の解析を進めている.全く同様の実験を北海道石狩湾産の親魚より得る卵を用いて行い,地理的変異の解析を行う. ミトコンドリアDNAならびにマイクロサテライトDNAを用いたヒラメの遺伝的集団構造の解析は,佐渡島や北海道にやや異質な集団が存在する可能性を示すものの,日本周辺のヒラメは遺伝的にほぼ均質な集団を形成していることが明らかになりつつある.これまでに予測されつつある生理生態的な地理的異変性を精密な飼育実験を通じて明らかにし,DNA情報より得られた遺伝的集団構造との関係を分析する. 本年度後半から次年度前半には当課題の柱と考えられる飼育実験を引き続き進めるとともに,アロマターゼmRNA分析による性判別法を用い,日本周辺海域より集めた天然ヒラメ稚魚の性比の地理的変異を解析する.
|